|バックナンバー:01-02-03-04-05-06-07|執筆日:04.10.12|


さあ、前回の続きからいくと、 いよいよ葉巻の製造工程についての話でしたね。葉巻愛好家にとって、メインはここですね。葉巻工場でトルセドールと呼ばれるシガーローラーがタバコの葉を巻いて葉巻という製品を形作るシーン。ここが醍醐味みたいです。

その話の前に、葉巻の構造について説明しておいた方が、解りやすいので、簡単に触れておきましょう。

前回の話でもありましたとおり、葉巻の原料はタバコの葉だけですね。ここに添加物が入るかどうかは、例えば、火が消えないように火薬みたいなものを入れるとか、香料など様々な化学物質等を紙に付着させるなどは、シガレット(紙巻たばこ)などではあるのでしょうが、シガレットのことは私は関与しておりませんので、なんともいえません。しかし、葉巻では、そのようなことがありません。少なくとも、私がキューバで見て知る限りでは。

とにかく、原料は葉っぱだけ。そのタバコ葉を巻くだけなのですが、大きく分けると3つの構成になっています。私がよくセミナーで説明する「のり巻き寿司」に例えて、ご説明します。

例えば「かっぱ巻き」といえば、具がきゅうりですね。その具のきゅうりを酢飯で巻きますね。もちろんそれで味もついているし、寿司として食べられるのですが、さらに風味をつけ、また、見た目もきれいに、そして、べたべたとご飯が手につかないで食べやすいように、最後に海苔を巻いて完成ですね。まさにこの3つの構成なのです。

この「かっぱ巻き」で例えるなら、こんな感じです。


きゅうり  → Filler フィラー
酢飯   → Binder バインダー
海苔    → Wrapper ラッパー

このタバコ葉の名称は、すべて英語での名称の場合で書きました。

どれもタバコ葉には違いないのですが、のり巻きの海苔に相当するラッパーという名称のタバコ葉は、フィラー、バインダーとは、品種が違うタバコです。そして、栽培方法も、発酵や加工も、多少違います。

要は、海苔にあたるラッパーは、見た目が大事なのです。のり巻きの場合は、確かに海苔の風味など、味わいを占める要素も多少あるでしょうが、葉巻の場合は、実際は味にはあまり影響しません。きれいな葉っぱであることが、大事なのです。

もちろん、ワインのテイスティングを勉強されている方なら、よくご存知のとおり、人間の味覚は、視覚でも左右されますから、多少の影響もあるでしょう。見た目を綺麗にすること。美味しそうな色、艶に葉を育てなければなりません。傷があってはいけません。高級なドレスを着たほうが、商品としては、高く買ってもらえる(選んでもらえる)じゃないですか? そういうことです。

ちなみに、英語ではラッパーと言いますが、フランス語では「Robe ローブ」(ドレス、ガウン)と言われています。

味を決める具の部分フィラーと、その具を巻くバインダーは、同じタバコ葉なのですが、ラッパーと何が違うかというと、こちらは味が重要。見た目ではなく、葉巻の味を決める大事な要素です。

ですから、その土地の太陽を浴びさせ、その土地ならではの風味をかもしだす必要がありますね。ワインでいうところのテロワールが重要なのは、このフィラー、バインダーとなるタバコ葉の方です。

さあ、では、中心にあるフィラー、それを束ねているバインダー、そして、最後にきれいに巻いて仕上げているラッパー、これらを知ったことで、いよいよ次回、葉巻がどのように巻かれていくのか、ご説明いたしましょう。

(それぞれの部位の詳細についてお知りになりたい方は、ニチーナ・シガースクールのベーシックコース、又は、日本 キューバ・シガー教育協会が主催する受験前の事前講習会でご説明しています。お気軽にお問い合わせください。




なかなか、王道の食後酒にたどりつきませんが、実は私、「リキュール」が大好きなのです。特に葉巻の存在に出会ってから。

なぜ、こんなに種類がたくさんあって、幅広く楽しめるリキュールが、あまり食後酒として選ばれないのか、残念です。

リキュールというと、製菓材料とか、カクテルの材料とか、そういうイメージが強いのかしら。なんといっても「甘い」のひとことで敬遠されがちなのでしょうか。

その甘さも、奥が深く、濃厚で、さらにアルコール分も高いので、すっきり、さっぱり、が好きな日本人の味覚には、ことさらに、あわないのかもしれませんが、和食の後ではなく、フランス料理を食べた後、しかもワインも飲んだ後なら、日頃とは違う味覚になっており、きっと美味しく飲めると思います。

確かにエキス分が濃いので、例えば、氷を1個入れるとか、少しだけソーダ水で割るとか、工夫をすると面白いですね。そういう応用が利くのも、またリキュールの醍醐味です。もちろん、濃厚でアルコールも高いので、ちびちび舐めるのがいいわけです。そこに大人の食後の遊びがあるわけです。

甘いのが嫌い=大人、と思っているナンセンスなことは、フランス料理の食後には言わないでくださいね(バックナンバー02「デザート」でも書いたとおりです)。大丈夫!普段とは違うし、おやつタイムではないですから。フランス料理の後、美味しいワインを飲んだ優雅なディナーの後だったら、味覚は変わっていますよ。

夜更けに、大人はこの甘美なリキュールと葉巻で食後の余韻を遊んでくださいませ。特に大人の男性こそ、これをやってると、洒落てますよ!ね?

ところで、リキュールってどういうの? と言う方のために、今度はリキュールのいろいろをご紹介しましょう。幅広い種類に分けらますからね。お楽しみに。


■編集後記

葉巻と合せる食後酒にリキュールというのは、かなり裏技というか、大人の遊びの紹介をし過ぎたでしょうか?(わかる人にとってはね。)

濃厚なエキスをちびりと舐め、そこにシガーの煙を転がす。もちろん照明はぐっと暗くして、落ち着いた部屋がいいですね。月明かりを眺めながらソファで。こんなゆったりした時間、これこそ贅沢の究極かもしれません。

そこに癒しの音がBGMであると、もうすっかりナチュラル・ヒーリング。日頃の疲れも吹っ飛ぶというものでしょう。お奨めの曲は、小久保隆さんの『モネの音風景「エトルタの海辺」』

これですっかり疲れをとってください。癒されます。



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