|バックナンバー:01-02-03-04-05-06-07|執筆日:04.09.21|更新日:04.10.14|


【Cigar】葉巻〜サイズの紹介〜

「チャーチル」
「ダビドフ」
「ロブスト」
「コロナ」
「コヒバ」
「パナテラ」
「トルピード」


これらの言葉はだいたい耳にしたことがあるのではないでしょうか?この言葉のうち、サイズ名を指す言葉、ブランド名を指す言葉が解る方は、シガーのことをご存知だと思います。

これらのうち、「ダビドフ」、「コヒバ(コイーバ)」というのは、ブランド名です。
世界中で有名な高級葉巻のブランドで、それぞれのブランドが様々なサイズの葉巻を作っています。

そして、「チャーチル」、「ロブスト」、「コロナ」、「パナテラ(パネテラ)」、「トルピード(トルペード)」というのは、一般的に通じるサイズ名称です。

例えば、太さが20ミリメートル前後くらいで、長さも120〜130ミリメートルくらいあるものは、いわゆる「ロブスト」サイズと言えば、だいたい通じます。葉巻でいえば、太いサイズに属します。

また、細いもの、例えば10〜15ミリメートル前後くらいのスリムな葉巻は、俗に「パナテラ(パネテラ)」サイズと呼ばれます。

そして、一番有名な響きとして「チャーチル」。
これは、18.65ミリメートルの太さで、178ミリメートルの長さのサイズの葉巻を「チャーチルサイズ」と、俗に呼んでいます。

また、「トルピード(トルペード)」というのは、片方がすぼまって先細りになっている葉巻の一般的通称名です。

さきほどから申し上げている俗に呼ばれるサイズ名というのは、だいたいマーケット上で通じる一般通称名です。

厳密に言うと、各ブランドともそれぞれの商品毎に、直系も長さもきっちり決まっており、世界的規格にあてはめて商品サイズを作っているわけではありませんので、ブランド毎に様々なサイズを作っていたり、作っていなかったりしますが、だいたいこのくらいの長さ、太さだったら一般的に通じるサイズ名、というのが先にあげたものなどです。もちろんたくさんありますので、以上は代表的なものの一部です。

例えば、コイーバというブランドで作っているチャーチルサイズ。これの商品名(葉巻の名称)は「エスプレンディドス」といいます。同じチャーチルサイズでも、ブランドが違えば、別の商品名ですね。「Romeo y Julieta」というブランドでは、チャーチルサイズを、そのサイズ名そのままの「チャーチル」という名前で商品にしています。

ちょっとその辺が ややこしくなるのですが、でもまあ、いちいち全ブランドの商品名を覚える必要がないです。つまり、サイズ名を言えば通じるわけですから。例えばこんなふうです。

「コヒバ(コイーバ)のパナテラ(パネテラ)サイズをください」

といえば、
「Cohiba, Exquisitos(コイーバ,エスキシトス)」という葉巻が出てきます。(※英語読みだと、コヒバ,エスクイジートス)

「モンテクリストのトルピード(トルペード)をください」
といえば、
「Montecristo, 2」という葉巻が出てきます。

もしもそのサイズ名が思い出せなくても、「パルタガスというブランドの 太いやつ。長くなくて、太い葉巻」 といえば、ただ太いだけだと、チャーチルサイズかと思われるので、でも長くはない、となれば「太くて短い」=「ロブスト」と、だいたいの人が想像してくれますので、自ずと、「Serie D,4」という商品が出てきます。

葉巻を扱うショップでもバーでも、それぞれスムーズにいきますのでお客様は安心してお好みの味(ブランドの個性など)や、サイズ(長さ、太さ)をお伝えしてください。


【注意】 ここでは、英語読みでカタカナ表記をしましたが、( )内は原語のスペイン語読みで表記しました。

インターナショナルでは、英語読みの方が通じると思いますが、専門的にいうと、やはり原語がそのものへの敬意を示すと思われます。

例えば、「Champagne」もソムリエ協会が管理するこのワイン村というサイトでは「シャンパーニュ」と表記するように規定されていますね。きっとワインを勉強されている方には、シャンパン、シャンペン、では気になってしかたないでことでしょう。やはりシャンパーニュ、と敬意を持って呼びたいという方が、多いと思います。 「Ch.Margaux」もシャトー・マーゴーと、英語読みするより、やはり「マルゴー」と原語のフランス語読みに近づけますよね。

それと同じで、「Cohiba」も、よく「コヒバ」と言う人が多いですが、それは英語圏の国の方なら 当然そう発音しますが、本来これはキューバ産ですから原語は「スペイン語」です。日本語を喋る私達日本人としては、原語に合わせてもいいのではないでしょうか?もちろん私も英語で喋るお客様には英語発音に近づけますが、基本的にはそのものを尊重して原語呼びさせて頂いております。そうなると、これは「コイーバ」です。

「Exquisitos」も「エスキシトス」です。
「torpedo」も「トルペード」です。アメリカ合衆国のシガー雑誌で覚えた方は 「Torpido」(トルピード)、「Panatela」(パナテラ)と、書いてあるので、そう呼んでいるようですね。米国の葉巻のことを話している時なら英語の単語で呼ぶのもいいですが、キューバの葉巻のことを話しているなら、「Panatela」ではなく、スペイン語の「Panetela」という単語で言ってほしいものです。

「Romeo y Julieta」というブランドも、「ロメオ・ワイ・ジュリエッタ」と呼ぶ人も多いですね。もちろんこれはシェイクスピアの物語のタイトルですから、どう読んでも通じるので、問題ありません。

が、キューバ産の葉巻のブランド名として呼ぶなら「ロメオ・イ・フリエタ」と読んでいただかないと、気になって気になってしかたないものなのだそうです。と、在キューバの日本大使館の方がちらっとおっしゃってましたよ。

でも、問題は相手に通じればいいことですから、発音はそんなことはたいした問題ではありませんね。

あまりワインに詳しくない方に「シャンパーニュ」と言ったところで困惑されるよりも、解り易く「シャンパン」といってあげた方がいいわけですから、その辺はプロの接客業の方でしたら、臨機応変に対応されていることと思います。それでいいんです。現場というのは教科書だけでワインを語っていては仕事になりませんからね!





【Digestif】食後酒 〜ポート?〜

シガーにあわせるお酒といえば、          
王道は
「ブランデー」
「ポート」
と、いう方が多いようです。(葉巻愛好家の間では。)
                      
ソムリエ、バーテンダーといったお酒の知識のあるプロの方は?だいたい 葉巻愛好家の方はバーで吸うことが多いので、バーテンダーに「ポート」と頼むことが多いか、バーテンダーのお得意な「シングルモルト」をすすめられるがままに「シガーとシングルモルトは合うよね〜」なんて言ってる光景、たまに目にします。だいたい、バーはそのお店のコンセプトによりますが、スコッチウイスキーに卓越しているところが多いです。それはそれは素晴らしい専門的分野です。

そして、世界的にもスコッチウイスキーの会社は販売戦略として、最近の傾向としてはシガーと結び付けてマーケティングに力を入れているようです。それは、とても売りやすいから。なぜなら、バーといえば「スコッチウイスキー」それも最近の傾向として「シングルモルト」人気。また、バーといえば「シガー」。それぞれをセットにしてしまえば一石二鳥。シガー好きでシガー文化が根付いている英国としては、まさに一石二鳥じゃあありませんか?

それは「シガーとスコッチウイスキーは最高に合います!」って言うでしょう。スコッチを産す上に、シガー大好きな国民なのですからね(笑)。

それに英国人が「ポートとシガーは当然!」って自信たっぷりに言い切るのは想像し易いことでしょう。英国人がどれだけポート好きで、普段嗜むか、ワインを勉強した貴方ならよくご存知のはず。

ところで、お酒に限らず、
靴、時計、鞄、服飾・・・その他いろいろ含めて、日本人はとにかく世界のブランド企業のマーケティング戦略に乗りやすい。それを知ってか 知らずか(いいや、知ってるからこそ上手な)ヨーロッパのブランド企業は 日本はいいお客様!とばかりに、素敵なプレゼンテーションを行ってくれる。

そして、それを取り入れることがステータスとばかりにすぐにファッションにしてしまう日本人。それだけ流行に敏感でもあり、本来の意味を理解しないまま、すぐまた次の流行を追いかけているなかなかホンモノが根付かない文化のお国のようであるが、これはマーケティングの専門家の間で当たり前の常識ですし、いろいろなところでこの手の話しはされているので ここで話題にすることではないか。

 話はそれましたが、バーテンダーもプロです。プロというのはプロフェッショナルの略であり、つまりバーに憩いを求めて来店されるお客様に対して接客のプロフェッショナルでもあります。 相性がどうのこうの、という専門的なことも当然ですが、お客様に気持ちよく過ごしていただくこと、そして売り上げを作ること、これができてこそプロですから、そこはさすがです!もちろんソムリエも然りです。(ここでいうソムリエとは現場で働くソムリエ職のことです)

ここから先は体験談での笑い話で、
そこから皆さんが何かを得て欲しいというヒントとしてお話します。

数年前のある日、シガー愛好家であり、雑誌などにシガーについてコメントやエッセイを書かれることもあるライターの方と打ち合わせの帰りにバーに行きました。シガーのインポーターにお勤めの方がプライベートで合流していたので、3人で行きました。そこは銀座のオーセンティックなバー。私達はカウンターに座りました。ちょっと緊張しているようです。そして、バーテンダーが「ご注文は?」 と。

誘ってくれた人はあまり飲めない人らしく、何か炭酸で割ったものを頼んでいました。そして、そのシガー愛好家の方は、「ポートを」 と。

そう、そうです! だってシガー愛好家ですもの。シガーを吸うんですもの。バーでシガーを吸う、というシチュエーションなんですから、これは王道の「シガーとポート」!これに決まってる!!とばかりに シガーを片手に慣れた様子でオーダーしました。

そして、私の想像通りの展開・・・
バーテンダー: 「ポートはいかがします?(何にしますか?)」
シガー愛好家: ?・・・?? 「え?」
私が小声で 「Tawnyがいいかもね?」とさり気に言っているそばからそれを打ち切るように

シガー愛好家: 「な・何があるんですか?」
バーテンダー:(待ってましたと言わんばかりに)「はい。当店では、ポートはいろいろありますが、そうですね、例えばVintage で○○年とか。○○年もありますよ。・・・」
私 :「あ、私はRuby Portもいいかな、あります? あ、ない。そう、じゃあTawnyにしようかなぁぁ」(と、シガー愛好家に聞こえるように言っているにもかかわらず)、
シガー愛好家: 「じゃあ、○○年、ください」 (よし、決まったぜぃ!)
バーテンダー : 「はい♪ かしこまりました〜♪」
私 :(あー、言っちゃったよ・・・、頼んじゃったよ・・・、Vintage Port・・・)

そりゃあ、美味しいでしょうよ。しかしですね、マリアージュを考えると、Vintage より Tawny が私はお薦めです。私の個人的主観ではなく、各々の製造方法を考慮してのソムリエとしての意見ですけどね。(詳細は 講義で扱っています) 
 
しかしですね、私が今回言いたい事、それは、それは・・・

今回のお会計。

ねえ、接待受けてるんじゃないのよ。なんで高価なものを頼むのよ?!だからVintageじゃなくてTawnyって言ったでしょ!しかも、しかも、そのインポーター勤めの人、カードで支払いして、かっこつけてたけど、その後で私に請求した事実を知ってるう??!! 「割り勘だ」って!! まったくもぉ! 人前では全部ご馳走しているように見せて、影ではせびってるくせに!! もーーー!!しかも領収書、会社名で全額切ってもらっちゃって・・・

そのシガー愛好家、わかってないんだろうなー、シガーとのマリアージュと、そのVintage Portの値段、それと最後に言っていた「○○さん、ご馳走さまです!」そして私に「○○さんの会社でこういう(プライベートの)経費も落ちるんですかね? かっこいいですね〜」といった言葉。私は今でも忘れない。

「シガー愛好家ぁ〜?! シガー業界だぁ〜?! シガーと酒のマリアージュなんて全然わかってないよ!! 製造方法から探ることしてないもん!外国のエッセイの引用を鵜呑みにしてわかったふりしてるだけじゃない!!終いには、英語のシガー本を翻訳したのを丸暗記してるだけじゃない!!真髄を解ってないよ!!」

と、わたしが 声を大にして言うのは、銭の恨みつらみを引きずっているからに違いない。(2004年9月・思い出し涙で筆)

「まあ、いいや。その(懐が)痛い経験が私を成長させてくれたから。」

・・・・・   ・・・・・   ・・・・・

恐らく、「シガーとポート」という組み合わせを
日本人のシガー愛好家が決まり文句のように言うのは、英国の小説や雑誌などでシガーについて読んだ文化人などが、それを日本の雑誌などにエッセイとして触れたりしたことから、徐々にシガー愛好家の間では 日本の雑誌のエッセイなどを読んでから「シガーにはポート」ということだけが頭に入っていったのではないでしょうか?英国の引用、という前置きを知らずに。

でも、シガーの方面と、酒類とその文化についての両方を知っている者が、冷静になんでそう言われているかと探ってみると、そこのキーワードに「英国」という背景に気がつきました。シガーの世界は「英国」抜きにして語れません。それは絶大な影響力を持っています。だからこそ、英国人の好きなものは 「当然」と素直に取り入れてしまう、そんなシガー文化の浅い日本ならではの背景もあります。

シガー愛好家は 愛煙家 ではあるかもしれませんが、酒類のプロではありません。しかし、今こそ、酒類のプロが 愛煙家 としてではなく、飲料とのマリアージュを提案するプロとして あらためて見直してもいいのではないでしょうか?

『ここは日本』。そして、ワインや料理でもお分かりの通り、今や世界中のありとあらゆるワインや料理が揃っているのは日本ほど豊かなところはない、といっても過言ではない時代。 酒類もそうです。世界中の酒類が揃い、そしてその知識も恐らくどの国の方より日本人ほど知識を持っているのもないのではないでしょうか?

ありとあらゆるお酒があります。それなのに、英国人でもない私達日本人がいつまでも憧れで英国紳士を真似るだけではなく、今こそ、世界中の酒類が揃っている日本にいる愛好家として、本来のマリアージュを楽しまれ、発信してもいいのではないかと思います。



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