|バックナンバー:01-02-03-04-05-06-07|執筆日:04.10.12|更新日:04.11.11|


葉巻の作られ方をご紹介します。葉巻はタバコという植物が原料である、ということは第1回目でご説明しましたね。その原料である植物のタバコの葉を収穫します。摘んだ葉はすぐに畑の近くにある「カーサ・デ・タバコ」と呼ばれるキュアリングハウスに運びます。

ここでは、キュアリングという工程を行います。これは農作業の専門用語で、タバコに限らず、サツマイモやカボチャ、バニラなどでもこのキュアリングという工程があります。

タバコの葉の場合、とにかく、もぎ取った葉は、そこから酸化していくわけですよね。緑色の葉から茶色へと変化していきます。複雑な意味合いがありますが、でも簡単にご説明するならば、発酵前の準備段階です。乾燥させる、と訳されることがありますが、シガレット用ではありませんし、このキュアリング(AIR CURING)という工程をドライ=乾燥と訳されてしまうと、イメージが変わってきてしまいます。

現場に行くとよく解るのですが、それは決してパリパリに乾燥させません。常に湿り気が大切です。その葉は伸縮するのです。それはやはりキューバの大地だからこそですね。自然な状態での温度と湿度、キューバならそれが可能です。

詳細は 私の主催するニチーナ・シガースクールの講義や、それを元に講習会を開いている日本 キューバ・シガー教育協会(CCA)の事前講習会(毎年開催される認定試験有り)で講義がある手前、ここでは簡単な説明になってしまうことをご容赦ください。

そして、茶色になった葉は 今度は発酵所に持っていき、余分な葉脈などを抜き取り、サイズや色、テクスチャー別に選別してから発酵します。どうやって発酵させるかというと、そのままタバコの葉を山積みするだけです。アルコール発酵とは違いますね。天然の酵素がついていますから自然に熱を帯びてくるのです。まさに自然発酵。

栽培からの工程をみていると、まさにビオだなあ、と5年前の1999年、初めてキューバに単独研修に行ったとき、そう思ってしまいました。最近ワインの世界でビオがやっと注目され始めていますが、筆者は5年前から自身のレストランでビオワインを取り入れていましたので、つい、キューバの農作業やタバコ葉が発酵させる工程をみて、そう思った次第です。昨今のビオワインブームで言っているわけではありませんので、ご容赦くださいね。

ただ、ワイン好きな皆さんには、特に今年あたりから、ビオワインを勉強して知っているという方が多いと思ったので、注釈なしで書きましたが、きっとビオをご存知でしたら、発酵だけではなく、栽培、そしてそれ以前の土壌作りからして有機、自然体なのだろう、とイメージしてもらえると思いました。

もちろん、私の見たキューバでのタバコ栽培、葉巻作りはまさにそうでした。でも決してビオなんて言葉は使いません。ワインとは違います、混同されませんようご注意くださいね。あくまでも筆者の独断と偏見の感想までです。でもキューバは、有機栽培大国です。自然なことをやっているだけです。そこが、筆者にとってのキューバ・シガーを探求していった魅力ですが、話が長くなるので、また機会があるときに。



とにかく!発酵しているときは 物凄い臭いを放ちます。目が痛くなるほどのアンモニア臭です。

発酵が終わると今度は貯蔵しておきます。それぞれ天然の素材に梱包し、寝かしておくのです。

1年〜3年、寝かされた葉は畑に近い発酵所から旅立ち、いよいよ 葉巻製造工場へと出荷されます。海外向けの高級シガーのための葉巻工場は主にハバナ(キューバの首都)にあります。

では次回に、いよいよ製造の過程をご案内します。





秋も深まってまいりました

秋の夜長には お酒もいろいろな種類が美味しく楽しめますね。寒くもないちょうどよい夜の風。美しい月夜を眺めながら、じっくり食後を堪能できる季節です。

そして、実りの秋。ナッツ類をつまみながら食後酒を傾け、落ち着いて会話を楽しむロマンチックなひと時が過ごせることでしょう。そこで、木の実をつまみながらの、秋のお勧め食後酒として、

・ ポート
・ マデイラ

などを筆頭にした、いわゆる「酒精強化ワイン」の類はいかがでしょう。前回は、ポートワインとシガーのエピソードをご紹介しましたので、今回はマデイラについてお話してみます。

マデイラは 酒精強化ワインの仲間

一般にあまり聞かない名前かもしれません。お菓子作りが好きな方ならお菓子の風味付けにつかう洋酒としてご存知でしょう。洋食好きの方なら「マデイラソース」なんて聞いたことあるかもしれません。肉料理のソースとしてメニューに書かれることがあるので、料理に使うお酒(料理酒)、というイメージも強いかもしれません。

このサイトをご欄になっている方は ワインに詳しい方が大半なのでしょうか?だとすると今更説明がいらないのでしょうが、読者層が幅広いという前提で、簡単にだけご説明したいと思います。

マデイラとは大西洋にある島の名前ですが、北アフリカ沿岸から約600km.、ポルトガルのリスボンから約980km.に位置している島で、ポルトガル領となります。1418年にポルトガル人によって開拓されるという歴史があり、広大な森林があったことから「木」を意味する「マデイラ」と名づけられたそうです。位置するところから察するとおり、大航海時代、欧州にとって、そこはアフリカ、インドへの航海の補給基地となります。

さて、そのような位置、気候、歴史的背景の中、ここで造られたワインは暑い熱帯の海洋での長い航海に耐えたわけですが、これがなかなか飲めるじゃないか、と評判になりました。それは偶然の産物だったのかもしれませんが、その後そのしくみを利用して、18世紀には熟成庫にストーブを入れて加熱する方法が考案されるようになりました。

時を経て、現在では近代的な製法であるにしろ、原理はこのような事情から造られたという、面白いエピソード、変り種のワインです。

発酵している途中で、アルコールを添加し、本来のブドウ果汁の甘さを残し、アルコール度数を上げ(所定の度数にする)酒精強化をするワインの製法。こういうものは「酒精強化ワイン」というカテゴリーに属しますが、そうすることによって天然の甘み、そして普通のワインよりもアルコール度数が高くなり、それらのことによって保存性が高まります。ですから長い航海に喜ばれた飲み物だったのでしょう。製法によって甘みは調整され、辛口からコクある甘口まで様々なタイプがあります。

特にマデイラの場合はESTUFA(エストゥーファ)、直訳するとストーブの意味ですが、つまり温室を使って加熱する、そして徐々に温度を下げていき、その過程で酸化熟成を進めるという特殊な方法もとりますが、それがこのマデイラの風味、味わいの特徴ですね。

>>詳細はこちらもどうぞ (公式サイトのご紹介です)
・マデイラワイン協会
・ ワインと葡萄協会


マデイラとシガー


マデイラというと、安いお酒のイメージがあるのでしょうか?実際にはVintageものなど、かなり希少なものもあるのですが、意外に知られてないのでしょうね。葉巻を嗜む方は一般的にどうしても高級志向でブランデーやポートというイメージがあるようです。(特に固定観念を持ち易い男性に多いみたいです。これ、と決めたらずっとそれ。)

実は、私のお勧めはマデイラ。
もちろん、シガーとの相性、という前提ですよ。一口にマデイラといってもいろいろなタイプがあります。その中でも、私は個人的にテランテスがお勧めですが、やはりボアルというタイプは、甘さがあり、それがシガーの苦味を和らげますのでベストな組み合わせでしょう。そして、マデイラ特有の味わい、風味がシガーの個性に溶け合います。

ポートと比較してみてください、何が違うか。そこがシガーにマデイラをお勧めする理由です。大抵のシガー愛煙家は びっくりされます。「シガーにはポートだろ」と思っているところに、マデイラなんて(一般的には安価なイメージのお酒を)言うのですからね。(もちろん、ポートにもいろいろなタイプがありますし、その中でもシガーとベストマッチなものもありますから、決してポートを否定しているわけではありませんのでご了承ください。)

ワインが好きな貴方ならきっとお解かりになると思います。マデイラをテイスティングしてみてください。舌に印象的な味覚は特に何が目立ちますか?そして、それがどういう結びつきがありますか?これはシガーの製法を知ってこそ、理論的にも納得できることでしょう。シガーと酒のマリアージュは実際講義で行っています。もちろん、理論抜きでも体感で相性をみることは貴方の感性を磨きますね。さあ、是非今夜試してみてください。

秋の夜長にマデイラをちびり、ちびり。ナッツやドライフルーツで。そこにシガーがあったら、きっと癒しのひと時が過ごせることでしょう。

素敵な夜を・・・


■編集後記
[ 2004.10.12 ]


つたない文章ですが、最期までお読み頂いて、ありがとうございます。天然のアロマであるキューバ・シガーが好きで、そしてその故郷「キューバ」という国の魅力を日本の皆様にもっとご紹介したい、そんな思いで、シガーサロンを展開しています。

その魅力とは、私たち日本人が忘れかけている豊かさ、でも本当は無意識にも求めている豊かさ、それはたぶん「癒し」、「スローライフ」ということではないかと思います。難しくスローライフなんて考える必要はないと思います。体の求めるものを自然に受け入れ、自然体で楽しむこと。それだけです。その体が求めるものを感じとれるか、その感性さえ失わなければ、日本にいても大丈夫、きっと。

先日、大阪で「キューバン・ナイトin OSAKA」というイベントを開催してきました。「ニチーナ・シガーサロン関西」の第3回目です。多くの参加者の皆様にシガーとサルサ(音楽とダンス)を楽しんで頂き、大盛況でした。汗かいたわあ、と嬉しそうな声。さすが関西、ノリがいいですね♪ 

是非皆様の町でもお酒を通して、シガーを通して、踊り、音楽を通して、楽しい時間を過ごしましょう、そういうひとときは大切ですものね。シガーパーティー、セミナー開催のご相談は、サロン・エマーブル(ニチーナ)まで 



|バックナンバー:01-02-03-04-05-06-07